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きょうだい児は複雑な気持ちを抱えている



このように言われて育った「きょうだい児」は、障碍や難病や疾患のある兄弟姉妹との関係において、肯定的と否定的の両面の相反する複雑な気持ちを抱いている可能性が高いです。
生まれて数年後、あるいは生まれてすぐに、障碍のある兄弟姉妹とともに過ごすので、きょうだい児にとっては障碍があることは、他の家族(世間)からは特異に感じられていると認知しつつも、本人からは特別なことではなくなります。
ほとんどのきょうだい児が「障害」を意識したことはなかったと言います。
親よりも長い期間の関係性を保ち続けるきょうだいに、1997年、2015年に意識調査を行った結果です。
年齢を重ねるごとに、障碍のあるお子さんの需要が変わるのと同じように、障碍のないお子さんの需要も変化します。彼らが幼少期から成人するまでの間にどのような葛藤があるのかをご覧ください。
ポジティブな反応
障害者であることを意識しなかった
- 弟には自閉症があるけれど、いつも楽しく一緒に遊んでいた。
- 他にも健常者のきょうだいがいたので、特に負担には感じなかった。
- ともだちも、一緒に遊んでくれて、手伝ってくれるのでとても楽しい。
忍耐力・対応力がついた
- 親が自分の思い通りにならなくても、なんとかやりくりする術を覚えた。
- 弟が学校で暴れてしまった時に、先生と協力して、パニックを抑え込んだ。
気付きや学びがある
- 弟にはダウン症と知的発達の遅れがあるけれど、弟がいなかったら、障害のことを知らないまま大人になっていたと思う。
- ほかのひとが体験できないようなことを、ちょっと辛かったけど体験できたことは良かったと思う。
ネガティブな反応
障害のことを誰も教えてくれない
- 誰も障害について教えてくれなかった。
- 自分で大人になってからネットや本で調べたがあまりよくわからなかった。
- 障害のことを詳しく知らないので友だちに聞かれても答えられなくて悔しかった。
恥ずかしいと思ってしまう
- 同級生との付き合い方に悩んだ。(友達に家族の話ができなかった。家に連れて来なくなった。)
- 姉のことを「お前のお姉ちゃん変だよ」といわれてショックだった。
いい子にしていた
- いつもいい子にして優等生だった。
- いい子でなければならないと思っていた。
- 親に自分の方にも向いて欲しかった。
- いい子でいれば親に認めてもらえると思っていた。
- 親が望む生き方をすれば愛してくれると思った。
- きょうだい児へのケアで大変な親にこれ以上負担はかけられないと思った。
えらいねって言われるのが嫌だった
- わたしは妹なのに、「偉いね、お姉ちゃんだね」って言われて、ものすごく嫌だった。
- 障害のある兄をいつも守ってきたけど、本当は兄弟げんかもしたかった、
- 年下のきょうだいの世話は当たり前だけど、思ったより大変だった。でも大変だって言えなかった。
まとめ
きょうだい児といえど、三者三様。その境遇にどのように適用していくかは、本人のもとからの性格や周りの人の支援によって変わります。できれば、ポジティブな側面のみ学び取ることができれば良いですが、ネガティブな面をみないでいることもできません。
ここで感じてほしいのは、きょうだい児のあなたはひとりではないということです。それは、あなたの痛みは耐えられないものではないと言いたいのではなくて、他にわかる人がたくさんいるよということなのです。
わたしは、これからも多くのきょうだい児の方に出会い、気持ちを共有し、自他ともに心身の健康を図っていけたらなと思います。
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