きょうだい児(きょうだいじ)とは、病気や障碍を抱える兄弟姉妹を持つ子どものことをいいます。
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障碍児のきょうだい達が、家族に困難を抱える弱い存在がいるストレスにより極端な非行に走ったり、故意に他者を深く傷つけることはほぼありません。端的に言えば『弱いものいじめ』などの問題は滅多に生じません。
主観的な結論ですが、両親をはじめ、障碍と奮闘する家族のなかで問題をさらに深刻にすることがいかに周りの人々とって酷であるか、きちんと思慮の分別がついているからだと考えます。とはいうものの、一般家庭、健常者のみの家庭のきょうだいと比較すると、いくつかの厄介な傾向があると、米国の研究が示しています。
- 集中力が持続しない
- 反抗的な態度をとりやすい
- 感情の起伏が激しい
- 興奮しやすい
- 癇癪を起こしやすい
- 不満を抱え込んでいる
- 多動性がある
- 他人と対立する
- 目立ち過ぎる
- 多弁
これらの特徴は、幼児期にはさほど顕著ではありませんが、小学校中学年以降増えると言われています。
障碍児が家族にいることにより、障害児以外のきょうだいへの両親の配慮やしつけが変わります。問題行動が生じる子どもは、何とかして親の関心を引きつけたいとあの手この手でもがいているわけです。その方法は、きょうだい児という当事者でも三者三様です。
行動や態度でSOSを出して比較的早急に解決できる子もいるし、たとえ、SOSを出しても気づいてもらえない子もいます。障碍児を抱えているという家族全体の意識にも左右されます。
当事者会に参加して感じたことですが、個人差が激しく、一人ひとり、向き合い方が異なります。
自分の不満を表面化させる子とさせない子がおり、表面化できる子は親に気づいてもらえますが、出さない子にはこころの表層部分という堤防で本音が決壊しないようにとひやひやしているのです。
最近は、素直な気持ちを表現できなかった子どもが、思春期〜青年期を過ぎたところで、破綻するということが見受けられます。それまではずっと押し殺してきた感情が、ふとしたきっかけで爆発してしまうのです。
幼少期から表向きと本音の歪みは修復不可能なほど開き切っており、やっと表に出せたとしても、「あの子はこんな子ではなかった」と評価され、二重苦を背負うことになります。
我慢していた自分と本当の自分、どちらに自分を傾ければよいのか、当事者も彷徨ってしまいます。
現在、発達障害は3歳児検診でフィルタリングされ、ある程度体系だったサポートのなかにあります。成人となったきょうだい児はどうでしょうか。
「生きづらさ」と端的な表現で片付けられてしまいながら、当事者だけで自分を養育している状態に陥ってはいないでしょうか。行政ケアも行き届かなかったきょうだい児世代こそ、限られた社会的資源のなかで回復する必要があります。
きょうだい児が生きてゆく過程では、さまざまな出来事が起きます。容易なことはひとつもありません。
障碍児が家族にいて、家族の役割や機能が編成することは、子どもにとってかなりの負荷になりますが、しかしながら、人間として成長するために良いハードルにもなりえます。少し高い障壁ではありますが、それを越えていく先に、人を大切にし、優しく、それから困難に対して果敢に挑んでいく人間に育っていきます。
そのときに背中を押してくれる環境をを、自分に与えてやることが非常に不可欠ではないでしょうか。そして、きょうだい児として育った鋼のような底力を糧に生きていくことができるのではないでしょうか。
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